道をそれて


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けだるく

 「道をそれて」ゲーリー・スナイダー 【ノー・ネイチャー】p197 思潮社

 ぼくらは 岩場の上 木立をぬけて どこに道をみつけても良かった 道なんて全くないところに 山の稜線と森とが ぼくらの眼と足の前にその姿を現す そして昔学んだ行動の知恵が指し示すまま 野性がぼくらを導くに任せる ぼくらは 前にもここに来たことがある 行く道が 決まっているところを歩くより このほうが なんとなくもっと懐かしい 途中で行き止まりになっても それはそれなりに面白い 通り抜けられたらすごくうれしい 道草や迂回をすれば丸太や 花がみんな見える 鹿の道はまっすぐ上がり 横切るのはリスの道 倒れ木の幹に座って一休み 岩底に降り立ったり 斜面に沿って曲がったり どちらも選択しているのだ 今は道を分かっても 後でまた再び出会う そしてぼくらの踵 膝 肩 腰は みんなその場所を心得ている 道が大事なのではない どの道を行っても行きたい所へは行けないだろう ぼくらは道を大きくそれてしまった 岩を超え 森に分け入っていくこの散歩の (1992年)

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